ウオノメ(魚の目)治療
鶏眼=魚の目(けいがん、ウオノメ=うおのめ)、足底疣贅(そくていゆうぜい=足の裏のイボ、ミルメシア等も含む)
これらは足の裏または足の指などに生じる代表的な皮膚疾患です。
1つないし複数個生じ、軽度から強い痛みが歩行時、圧迫時に伴います。痛みの程度は軽い違和感程度から素足での歩行が困難になるぐらいのものまで幅広くあります。
無症状であれば放置しても問題ない場合もありますが、痛みを伴うもの、数が増えてきたものは治療の対象になります。
ウオノメ、足底疣贅が痛い理由
ウオノメにせよ、足底疣贅にせよ痛みの原因は角質または角化物質の増成によります。
体の他の部位であればこれらの増加は皮膚表面への突出という形をとりますが、足の裏では角質層が非常に硬くまた厚いため、さらに荷重部位であれば体重が乗るため表面に向かっての突出ができません。指の間にできる場合も同様です。結果皮膚の内側、つまり真皮側に向かって突出する形になるため、あの独特の刺さるような痛み、足の中に常に小石を入れて歩いているかのような痛みが生じるわけです。
ウオノメの場合、硬い角質が円錐形状に真皮に刺さっている状態であることが多いため痛みが強い場合が多く、足底疣贅は少し柔らかめの角質または角化物質の増加が中心のため痛みはウオノメより軽い場合が多いです。
また、どちらともつかない中間のものも存在します。また足の裏の表面が硬い人ほど痛みが強く、柔らかい人ほど痛みが軽い傾向にあります。これは表面が硬く、抵抗が強いほど内側に角質、角化物質が突出するためだと思います。
ウオノメ、足底疣贅の原因
従来、足底疣贅(足の裏のイボ)はウイルスによるもの、ウオノメは慢性的な摩擦、圧迫などによって生じた体の反応性のものと二つを明確に分けていましたが、当院では足底疣贅、ウオノメともにウイルスによるものであろうと考えています。
その根拠として
1.ウオノメは多くの場合は荷重部位、つまり擦れる場所に生じますが、そうでない場所にも生じることがあること
2. 傷が付いた場所からウオノメが始まる場合が多いこと
3. 摩擦、圧迫の解除が長期間にわたっていたとしても自然治癒、寛解がみられない。実際数年寝たきりになった方でもウオノメが残っている例があること
4. 抗がん剤注射を行っている施設もあり、有効であるとされていること
5. ウオノメと足底疣贅の中間的なものが存在すること
6. 治療の経過中にウオノメからイボ様に形が変化していったケースがあること
つまりウオノメも足底疣贅もウイルス(その種類は異なるかもしれませんが)によるもので本質的には同じようなもので少し形が変わっているだけのものと考えています。
ウオノメ、足底疣贅にかかってしまう理由
ウオノメ、足底疣贅は皮膚の表面、つまり表皮にできた傷からウイルスが侵入し表皮に感染します。当然胼胝(タコ)が生じるような場所は常に擦れたり、傷ができる機会が多いためウオノメ、足底疣贅の好発部位になってしまいます。ただこの時、真皮まで届く深さの傷である必要はないため、本人は怪我をしたとの自覚がない場合が多いのです。
では、何故ウオノメ、足底疣贅になる人とならない人がいるのでしょう。
もちろん感染の機会が多い人、つまり靴ずれなどを度々繰り返す人、はだしで歩く機会が多い人などはウオノメ、足底疣贅になりやすいと言えるでしょう。でも同じような状態でならない人との差は何かというと免疫力の差ではないかと考えます。
この場合風邪をひきやすいなど全身の免疫のことではなくこのウオノメ、足底疣贅を引き起こすウイルスに対してのみの免疫をさします。両足に複数個のウオノメ、足底疣贅を持つ人は絶対的にそのウイルスに対しての免疫が弱く、1個のみの人は普段は免疫があるのですが、たまたまその時だけウイルスに好条件がそろい感染が成立してしまったのではないかと考えます。また、老化に伴って免疫力が衰え、若い時は何もなかったが、年を経てウオノメができた方たちも大勢います。
ウオノメ、足底疣贅の治療
一般的な治療法
1 サリチル酸軟膏(スピール膏)
スピール膏は病院に行かずとも自分で薬局から購入し使うこともできます。
この治療の目的は角質を浸軟させ、その後ウオノメの芯ごとむしり取ることで治療効果を挙げる方法です。早期のウオノメ、足底疣贅には有効ですが、大きく、芯が深くまで及ぶようになると芯まで取り除くのは困難な上、場合によってはウオノメが増大することがあります。これは周囲の正常角質、表皮までふやけさせウイルスを完全除去できなかったためさらにウイルスの感染域が拡大するためだと考えます。
2 液体窒素治療
液体窒素を含んだ綿棒をウオノメの芯に押し当て冷凍破壊することを目的とします(芯を繰り抜いてからその穴に押し当てる方法もあります)。回数がかかる上、当て方次第では強い痛みを伴うこともあります。当院に来られる患者さんの多くはこの治療を経験しております。
3 ウオノメの表面を削る
治療の項目に入れていますが、治療効果は全くありません。ウオノメの痛みを一時的に軽減するためだけの処置です。厚くて硬い角質を削ることでウオノメ内部の圧力を表面に逃がしてあげることで真皮への当たりを和らげ痛みを緩和します。当然角質が再び張ってくると痛みは出現します。
4 切除
治療の発想は古くからあり、実際に行われて来てもいます。なぜあまり一般的でないかと言うと、直径5㎜以上のウオノメの場合治療後の痛みが強く、出血、感染のリスクを伴い、傷が塞がるまで1か月以上を要することで日常生活を著しく制限してしまうからです。
5 抗がん剤の注入
ブレオマイシンという抗がん剤を芯に注入することで治療効果を挙げる方法です。
日本橋Fレーザークリニックのウオノメに対するレーザー治療
1. 色素レーザー治療
局所麻酔下でウオノメを表皮と真皮の境界ぎりぎりで、できるだけ出血しないようにメスで切除します。
これであらかたのウイルスは除去できているのですがまだ当然残っているウイルスもいます。このウオノメを取り除いて生じた穴に色素レーザーを照射します。
レーザーによって同部に熱が発生し、この熱によってウイルスを殺菌除去します。
この治療は基本的には表皮のレベルで治療を行うため真皮を傷つけていないので切除のように傷が治るまで1か月かかることはなく、通常翌日から普通に歩くことができます。但し、ウオノメが大きい、深いもしくはウオノメができてからの経過が長い場合は、この治療であっても大きく切除する場合があります。その際は、治療後しばらく痛みや出血が続く場合があります。
またこの治療は回数を要します。基本、月に1回の治療を3回以上、中には1年以上かかる場合もあります。
そのため色素レーザー治療は治療費保証で行っております。
ウオノメが大きい、複数個ある方はこちらの治療をお勧めすることが多いです。
2. 炭酸ガスレーザー治療
局所麻酔下で単純にレーザーを用いてウオノメを根底から繰り抜く方法です。一般的にウオノメのレーザー治療といえばこの方法を指します。
メスと比べレーザーを用いる利点としてはほとんど出血がなく治療することが可能なことです。ただ、大きさにもよりますが傷が癒えるまでは1か月程度見込まれます。
その間の傷の管理が必要なので、ウオノメの大きさが5㎜未満と小さく、短期間で完治に至りたい、1か月間多少生活が不自由でも構わないという方にお勧めします。
※1,2ともに治療後の痛みには個人差があります。
治療の概要
治療回数 |
ウルトラパルス炭酸ガスレーザー1回~、色素レーザー3回~ ・回数は個人差があり、ウオノメの状況によって異なります。※1 |
---|---|
治療期間 | 3ヵ月~ |
治療間隔 | 約1ヵ月毎(色素レーザー治療の場合) |
治療費 |
単回治療 ¥2,200(税込)/1mm |
使用レーザー | 炭酸ガスレーザー、ウルトラパルス炭酸ガスレーザー、色素レーザー |
可能性のあるリスク・副作用 | 創感染、瘢痕化、出血、再発など |
※1:ウオノメの治療回数は大きいものほど増える傾向にあります。
※2:10mmまで。以後5mm単位毎で +¥11,000(税込)
(再診料、写真代、薬剤費などが別途かかります。)
ウオノメレーザー治療時・治療後の流れ
① 患部を出しやすい服装でお越しください。
ストッキングは脱いでいただきますので、
できれば脱ぎやすいようにひざ下ストッキングのようなものをお考えいただければと思います。
またウオノメのレーザー治療後(炭酸ガスレーザー、色素レーザー治療ともに)、患部にガーゼが2日間あたります。
そのため、できるだけ広めのゆったりした、また汚れてもよい靴もしくはサンダルでお越しください。
② 治療後2日間は、湯船に浸かる入浴は避けて下さい。患部は濡らさなければシャワー浴は可能です。
③ 飲酒や激しい運動は2日間おやめいただきます。
④ 治療から約1週間後に患部の診察がございます。
⑤ 色素レーザーによる治療の場合は、完治するまで1ヶ月毎に治療、治療後約1週間後に患部の診察を行うため、1か月に2回のご来院となります。